銀座のオアシス 屋上ギャラリー「枝香庵」
先日、銀座の小さな画廊「枝香庵」で開催されていた絵画展に行ってきました。
ここ最近、仕事部屋にこもっての執筆が続いていたので、自分へのご褒美のつもりでオープンと同時に入店しました。
枝香庵は、ビルの小さな一室と屋上を展示場にしたギャラリーです。
この小さな画廊は、まだ無名に近い画家や駆け出しの人に発表の場を与えてくれる数少ない、貴重な画廊です。
枝香庵のオーナーは、発表のあてのないまま創作活動を続ける若い画家たちを、いつも熱心に誠意を持って応援してくれています。
たとえば、受付嬢をしながら絵を描き続ける若い女性など、創作活動だけでは生活していけない無名の画家たちを励まし、暖かいサポートを続けられています。
そうした若い画家たちの描く作品は、たとえ技術が未熟であってもその絵には「希望」が溢れ、鑑賞する人たちを勇気づけてくれます。
私も「元気」をもらっているひとりです。
出版のあてのないまま、どうしても書きたくて後先を考えずに長編のノンフィクションに取り組んでいた若き頃を思い出します。
出版不況のなか、「いい作品だけども、ノンフィクションは売れないんですよね」などと躊躇いもなく口にする編集者が多い現在、彼等を説得するのに疲れた時や執筆や取材に行き詰まった時など、無名でも情熱を持つ若い画家が無心に描く作品に私はどれだけ励まされたでしょうか。
私にとって、この銀座の小さな画廊は、時として忘れがちになる「初心」を思い出せてくる場所でもあります。
本音を言えば、出版業界にも「枝香庵」のような出版社が欲しいのですが、現実にはなかなかそうもいきません。私のブログをご覧になっているみなさんも、仕事などで疲れたとき、銀座の枝香庵を覗いて「元気」をもらって下さい。
枝香庵は「都会のオアシス」です。
http://www.mag2.com/m/0001671278.html
https://www.facebook.com/galleryechoann/?fref=ts
8月29日から9月5日までは、画家の井上よう子さんの個展が開催中です。
昨年、東京新聞で連載された直木賞作家・白石一文氏の「記憶の渚にて」の挿絵の原画約200点も展示されています。