リアルな映像とは、価値ある映像とは

私が執筆する部屋のベランダ越しに富士山が見える。

毎日、富士山の雄姿を見ていると、刻々とその姿を変えているのがわかって興味深い。
同じ白い雪をかぶった姿でも、早朝、朝、昼、午後では光りのあたり具合でまったく違うからだ。多様な「白さ」とともに、富士山の雄大さも微妙に違って見える。それが、とても面白くて長時間眺めていても、まったく飽きない。

リアル(自然)なものにこそ、一番価値があるのだなと感じさせられる毎日である。
やれ8Kだ、10Kだと、HDRだと騒いだところで所詮映し出される映像が劣化したものであることに代わりはない。

リアルに近づくには、高解像度(高精細)だけでなく臨場感(奥行き感)が欠かせない。なのに、殆どの家電メーカーはテレビの画質の高解像度と色調に走る。技術力のなさを白状しているようなものだ。

富士山の雄姿を見ていると、大画面によるダイナミズムはテレビではなくプロジェクターによって達成されるのだろうなと思う。しかしそのプロジェクターが、テレビ以上に心許ないのが現実である。

そのうち中国メーカーが、「あっ」と驚かせるようなテレビやプロジェクターを開発して私たちの目の前に突きつける日がくるのではないかと思う。

最近はどうかよく知らないが、以前のように中韓のテレビには映像の技術では負けていない。負けたのはデザインや価格だといまも本気で日本メーカーの経営首脳が思っているのなら救いようがない。もっと現実を認め、そこからスタートして欲しいと思う。