シャープへの期待

シャープ、ソニーパナソニックといった大手家電メーカー3社の2014年度第3四半期決算発表が終わったが、いま不思議な気持ちでいる。
もっとも数字的には業績回復の兆しが明らかで、今後も成長を期待させるパナソニックの株価が発表以降、あまり上がっていないのに対し、例によって「お化粧」で営業利益は確保するなど最終赤字が実質3年続くソニーの株価がストップ高を記録したからだ。その後も高値を維持している。ところが、数字的には一番苦しいシャープ社長の高橋氏が、なぜか一番まっとうな意見を述べている。

例えば、高橋氏は「選択と集中」を採らないと断言する。その理由は「選択と集中」が一時的に業績を上げたり、目先の利益を追うには適しているものの、中長期的に見て本当の再建に繋がらないことを挙げる。たしかに、リストラクチャリング(事業の再構築)は短期決戦である。では高橋氏は違う方法をシャープは採るというが、問題はそれまでシャープの体力が持つか、だ。

パナソニックは依然として出入り禁止が続くので、津賀社長の生の声を聞く機会になかなか恵まれない。パナの広報が私の取材を嫌がるだけでなく、業績発表や記者会見にも呼ばれないからだ。ただ雑誌等メデイアを通して津賀氏の発言を知る限りの判断になるが、シャープの高橋社長、ソニーの平井社長を含めた3人の社長の中では、高橋社長に一番誠実さを感じる。

ただシャープの経営陣の問題として、私は高橋社長を支える技術陣、スタッフが適切に配置されているのだろうかと疑問に思うことが少なくない。だから、シャープの記者発表に出席するたびに、もっとやりようがあるだろうになあと思わずにはいられない。

世の中の評価(評判)と実態には、だいたい数年のタイムラグがあるものだ。