VAIO株式会社 新製品発表会&VAIO Meeting 2015

昨日(2月16日)株式会社VAIOの新製品発表会が渋谷の「ヒカリエ」で行われた。発表それ自体は、いつもの発表会で進行を含め何も目新しいものはなかった。社長の関取氏が延々と意気込みを語り、商品プロデューサーが延々と新製品の素晴らしさを説明するというものだった。まあ、記者発表というのはどこの社でも、こんなものなので甲乙を付けるのは野暮だと思う。

午後3時からの記者発表よりも、午後7時から始まった「VAIO Meeting 2015」はなかなか興味深かった。いわば、VAIOファン感謝祭みたいなものだが、出席は抽選で10数倍の倍率の関門をくぐり抜けたファンたち約200名がヒカリエの会場に集まってきた。その中には、有力ソニーショップで顔見知りの店主もいた。彼らも応募し、20店ほどの店主が運を勝ち取ったようだった。

Meetingnoの冒頭では、社長の関取氏、副社長の赤羽氏の二人は「年寄り」ということで簡単な挨拶のあと、司会者に促されて早々に退場させられた。これが会場でけっこう受けたのには、笑ってしまった。記者発表の会場とは打って変わって、和やかな雰囲気、活気を帯びる登壇者の説明・アピール、実際に新しいVAIOを設計・開発を担当したエンジニアや商品開発担当者の自信に溢れた笑顔……。そこには、昨年の設立記者会見の時のような悲壮感はなかった。この1年で鍛えられ、逞しくなったのだろう。みんな腹が括れたのだなあと思った。

 問題は、やはりマネジメントではないかと感じた。
設計・開発などの現場はもう大丈夫だと思ったが、肝心の舵取り役のマネジメントの危機感が希薄だったことが気になった。製品開発以上に「販売」を含め、どう新製品を売って利益を出すか、その肝心の戦略遂行は経営側の責任だ。メーカー経営の両輪は「開発・製造」と「販売(営業)」である。その意味でも、マネジメントチームの強化が急務ではないだろうか。

 記者発表と違って、商品企画や設計などの現場の社員が壇上で自分の思いを語るのだから、ファンが集まる会場が盛り上がらないはずがない。自分たちの思いを理解して欲しいVAIOの社員たち、新しいVAIOを通じてその思いを理解したいファン。新しいVAIOのコードネームの発表や「解体作業(分解)」の実演、部品ひとつひとつの説明、そこへ行き着くまでの苦労話などなど。この交流から得られた熱気が外へと転じ、さらに広がっていくこと、いや広げていくことがVAIO成功の第一歩だとつくづく感じた。

 こうした熱気が、いまのソニーの「もの作り」の現場にも残されているのだろうかとふと思った。リストラ、リストラで現場のやる気を失わせることに関して天下一品の本社マネジメントの誰でもいいから、この会場の熱気を肌で感じて欲しいと思わずにはいられなかった。