CES(国際家電見本市)がオープンした。

 米国・ラスベガスで年初の最大のイベントとして恒例となったCESが、開幕した。世界各国から有力な電機メーカー各社がこれからの有力な家電製品を出品するので、今年の流行が分かるため注目している。

 今年は、どうやら「3D時代」の幕開けのようである。
 パナソニックが世界最大の152インチの3Dテレビの試作品をメディアに披露したが、今春から順次、家庭用の3Dテレビを発売する予定だという。ソニーも、今秋から順次発売することを明らかにしている。

 3Dのビジネスに関しては、ソニーが先行していたが、ここに来て主役はパナソニックに移りつつあるようである。とくに、家庭用のテレビとしての3Dの開発は、パナソニックのほうが順調に進んでいるように見える。

 それに対し、ソニーは劇場用、つまり業務用の3Dカメラ、3Dデジタルプロジェクターの各開発、そして映画などの3D用コンテンツの制作に早くから乗り出し、すでに全米で3Dの映画を上映できる映画館も確保するなど取り組みは早かった。

 しかし肝心のテレビに関しては、パナソニックのほうが家庭用に絞って取り組んできたことが奏功したようである。韓国のサムスンやLG電子などでも3Dテレビの開発は進んでおり、ここでも価格競争が始まるのは時間の問題と見た。

 ただし専用の眼鏡を着用しなけらばならないことは、映画館で3D映画を観るのは限られた時間での鑑賞なので問題はないが、家庭でテレビを見る場合はどうであろうか。友人などが集まって大型テレビを見るとき、全員が眼鏡を着用して見ることに私は違和感を覚えるし、また長時間、眼鏡をかけたままテレビを見るのは普段眼鏡を使わない人にはどうであろうか。

 そういうことを考え合わせると、メーカーが盛り上がっているほど、家庭用テレビはまだまだ時期尚早のような気がする。家庭に3Dテレビが普及するためには、眼鏡をかけなくても3D映像を楽しめるようなすることではないだろか。眼鏡なしで3D映像を楽しめるテレビの開発をメーカーには強く望みたい。

 それを実現して初めて「3G時代」が来るのではないだろうか。
 いずれににしても、最大の問題はコンテンツである。3Dコンテンツの絶対的な不足は隠しようがない。いまから作っているだろうが、テレビで放送するにしてもそのための投資をHD投資という巨額な費用を使った後に、また投資できるのであろうか。大手の放送局はともかく地方局はその体力はないだろう。

 米国でも専用チャンネル(CATVなど)に限られており、そのためにだけ新しい3Dテレビを購入するとは、思えない。どれだけ、3Dコンテンツを確保できるかで3Dテレビの運命が決まるような気がする。

 かつて日本では、アナログハイビジョンをNHKが開発し、実験放送を始めたものの、それに追従する民放がほとんどなかったため、ハイビジョン・コンテンツが不足してしまうという事態に陥ったことがある。せっかくハイビジョンテレビを購入しても、ハイビジョン映像を楽しめないのだから、笑い話にもならない。

 今回も、その時と同じ二の舞にならないか。いささか心配である。

 冷え切った家電市場を3Dテレビで活気づけ、その勢いで家電市場全体を再活性化できればいいのだが。当分は、様子見だな。